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『多田尋子小説集 体温』|ひとり時間は読書時間#10

心がほっとあたたかくなったり、生きるヒントを得たり……。幸せな気づきを与えてくれる一冊を、コラムニスト・山崎まどかさんが紹介します。

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休日の一冊

『多田尋子小説集 体温』(書肆汽水域)
多田尋子・著
多田尋子の小説集を復刊。表題作『体温』を含む3作品を収録した、一級品の恋愛小説集。

多田尋子(ひろこ)さんは1980年代に文芸誌でデビューし、90年代にかけて小説を発表していました。芥川賞の候補としては6回も名前が挙がっていて、歴代最多ノミネートになるといいます。

その頃の作品である3本の中編が収録されたこの作品集は、読書通の人たちの間で話題となっています。表題作の主人公である未亡人をはじめ、出てくる登場人物たちは外側から見ればみんな情熱とは無縁に思える平凡な男女ばかり。しかし誰もが人に思慕を抱き、捨てきれない想いを抱いて生きています。

出生にまつわる秘密から恋をあきらめようとする女性を描いた『秘密』は、ラストの鮮やかさに胸をつかれる思いがします。『単身者たち』の主人公の計子は42歳。母の世話に明け暮れ、結婚も就職もしたことがなかった彼女はその母の死後、ふと訪れた古道具屋で働くことになります。その店の主人である原口との淡い交流と関係性は、現在の視点で読むと新鮮です。

結婚や出産といった社会制度とは別のところで育まれるこの絆もまた、恋愛と呼べるものなのです。

 

Profile
山崎まどか
コラムニスト、翻訳家。『ビバ! 私はメキシコの転校生』(偕成社)でデビュー。著書に『優雅な読書が最高の復讐である』(DU BOOKS)など。

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