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『コーヒーと恋愛』|ひとり時間は読書時間#11

心がほっとあたたかくなったり、生きるヒントを得たり……。幸せな気づきを与えてくれる一冊を、コラムニスト・山崎まどかさんが紹介します。

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休日の一冊

『コーヒーと恋愛』(ちくま文庫)
獅子文六・著
お茶の間の人気女優・坂井モエ子を主人公に人間味あふれる人々が織りなす軽妙な恋愛ユーモア小説。

獅子文六は戦前から晩年となる1960年代後半まで、長きにわたって活躍した作家です。忘れられた作家として扱われていた時期もありますが、20年ほど前から若い世代を中心に再評価が進み、現在では多くの著作が文庫化されて再び注目を集めています。

彼の人気が再熱するきっかけになった『コーヒーと恋愛』を読めば、彼の小説がどうしてそんなに長く愛されているのかきっとわかってもらえるはずです。この作品が書かれたのは1962〜63年ですが、そのユーモア感覚やしゃれた雰囲気は今もまだ新鮮です。

主人公は40代のテレビ女優坂井モエ子。ドラマでは母親役で人気ですが、新劇の演出家である8つ年下の夫の動向にヤキモキしています。モエ子には得意なことが芝居以外にもう一つあって、それはコーヒーを淹れること。夫も、茶道ならぬ「可否(コーヒー)道」を標榜する人物として登場する菅貫一も、彼女の淹れるコーヒーに夢中ですが、モエ子のコーヒーの腕は、思わぬところに彼女を連れていくのです。ラストは爽やかにして鮮やか!

 

Profile
山崎まどか
コラムニスト、翻訳家。『ビバ! 私はメキシコの転校生』(偕成社)でデビュー。著書に『優雅な読書が最高の復讐である』(DU BOOKS)など。

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