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カンボジア アンコールワット|世界のここち巡り#11

トラベルライターが体験した、世界各地の「ここちよさ」を感じるスポットとは。

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カンボジア アンコールワット

この頃、ふと渡航先で体験した非日常のワンシーンを思い出し、彼(か)の地に飛んで行きたくなる衝動に駆られる。特に夕刻は、各地のドラマティックなシーンを脳裏に焼きつけているせいか、すぐに記憶が蘇る。

初冬に思い出すのは、乾季を迎えたアンコール遺跡群の夕暮れ。少しばかり湿度が低く過ごしやすいこの時季の遺跡は、長居を決め込む人たちの好スポット。ぽっかりと気球が浮かぶ茜色に染まる空は、眼下の街と共に褐色へと沈んでいく。19世紀に再発見されるまで数百年間ジャングルに身を隠していた遺跡群だが、太陽は今も昔も変わらずに上空を行ったり来たり。

悠久の時間を想像するひととき、とてつもなく大きなものに抱かれるかのような安らぎを覚えた。“ここちの記憶”とは、時の流れが少し緩やかなときに出合う、肌触りの集積のように思う。また、あの夕暮れに身をおく日が待ち遠しい。

アンコール遺跡群周辺は高い建物がないので空が広く感じられる。
天体の動きも取り入れているクメール王朝時代の寺院建築は、9世紀から15世紀にわたって栄えた。

 

 

Profile
朝比奈千鶴
「暮らしの延長線の旅」をテーマに各地を訪ね、旅を通した地域文化継承活動や環境を意識したサスティナブルツーリズムに携わる。

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