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作家・角田光代さんに聞く『源氏物語』の魅力とは|今こそ知りたい『源氏物語』#1

平安時代に生まれた『源氏物語』。1000年以上もたつ今でも世界中で多くの人を惹きつける、不朽の文学です。
角田光代さんによる現代語訳『源氏物語』が2020年2月に完結。5年もの歳月をかけて物語に向き合った角田さんは何を感じ、読み取ったのでしょうか。

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角田光代訳『源氏物語』(河出書房新社)は全3巻。初めての人にも途中で挫折してしまったという人にも、おすすめの読みやすさ。

特別な思い入れがないままスタートした現代語訳

『源氏物語』に魅了され現代語訳を手がけた文学者や作家は数多くいます。角田光代さんは自ら望んだというわけではありませんでした。

「池澤夏樹先生が編集する『日本文学全集』三十巻の中で『源氏物語』を取り上げることになり、声をかけていただきました。最初は特に思い入れもなく、稀代の好色男の話としか認識していなかったんです」と角田さんは明かします。

「訳に取り組むにあたり、何冊か現代語訳や資料を拝読しました。その中で比較的読みやすいとされるものであっても、私には何かぶ厚い御簾(みす)が眼前に下りているように感じられました。少々乱暴かもしれませんが、今回はその御簾を取り払い、とにかく読みやすくすることで、この小説が元来もつおもしろさを読者に伝えたいと考えました」

さらに「作者の声に耳をすませて忠実に書く」ことを心がけた角田さんは、次第に紫式部の声を近くに感じ、なおかつこの物語が“男女の恋愛”を超えた壮大なテーマをはらんでいることに気がついたそうです。
運命や宿命に翻弄される人間の姿は今も昔も変わらない

藤壺、葵の上、紫の上、夕顔、六条御息所、空蝉……。『源氏物語』には多くの女性が登場します。

「紫式部は実は女君たちを描きたかったのではないかと思えるほど、一人一人が魅力的です。これまでの自分の経験を重ねて共感できる女君もいるかもしれません。素直に愛情を表現できない葵の上や、嫉妬に苦しむ六条御息所など、今に通じる感情が描かれていますから」

そんな多彩な女君たちは、光源氏との愛に命を燃やし、ときに幸福を、ときに苦悩を味わいます。

「もちろん恋愛が物語の核ではあるのですが、登場人物の誰もが“運命”や“宿命”といったものにあらがえず、巻き込まれていくさまが描かれています。それは光源氏も例外ではありません。偶然出会ったように思える人と人が、実は出会う定めにあったというようなことが、物語全体を通して貫かれているように感じます。恋愛も含め人生は、実は過去の会話や選択によって決められているんですね。運命のうねりのようなものを物語から感じ、今回のテーマにしたつもりです」

1000年以上たっても読み継がれている理由

角田さんはさらに、小説家としての紫式部の筆力やテクニックにしきりに舌を巻いたそうです。

「伏線の張り方と回収の仕方がみごとだと思いました。会話や何げない出来事に小さな伏線がたくさん散りばめられていて、それをきれいに回収していくんです。また、400人以上も登場する人物の設定や、気持ちの移ろいといった心理描写も巧みです。一つのエピソードが短編のように完結している点も、現代の文学に通じると思います」

『源氏物語』が時を経ても色あせない理由は、その現代性と、今に生きる私たちにも無関係ではない“運命”という普遍的なテーマを内包するがゆえかもしれません。

「それを教訓的な物言いではなく描いているからこそ、1000年以上もの間、さまざまな時代にフィットして読まれてきたのだと思います。私の現代語訳はダイジェスト版のように読んでいただき、男女の心の機微や豪華な王朝文化をもっと感じたいという方は、いろいろな現代語訳を読んで比較してみてください」

 

角田さんの心に刺さったセリフ2選

「お気の毒なお頼みごとですね。この私がどうして不快な思いなどできましょう」
中巻「若菜 上」P293

光源氏は最愛の女性、紫の上がありながら新たに正妻を迎えます。「この出来事で紫の上は自分の嫉妬心にようやく向き合えました。光源氏に世話を頼まれたときに返したこの言葉にも葛藤が感じられます」

 

「逆さまには流れないのが年月というもの。だれしも老いから逃れられないのだ」
中巻「若菜 下」P437

自分の妻を身分が下の者に寝取られた光源氏が放った言葉。「かつてはまぶしすぎるほどだった光源氏が、『みんな老いて死んでいくしかない』という弱音を吐くという描写は強く心に残りました」

 

角田光代さん
作家。1967年、神奈川県生まれ。『幸福な遊戯』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞、07年『八日目の蝉』で第2回中央公論文芸賞ほか、多くの文学賞を受賞。

 

撮影/服部希代野 取材・文/中島宏枝

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