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包む|ここちよく#5-吉本ばななー

作家・吉本ばななさんがここちよいと思うもの・ことについてつづるエッセイ。

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VOL.5 包む

知人が広大な裏庭でやっていた趣味の農業があるとき趣味を超え、近所の道の駅みたいなところで野菜を売るようになった。

「玉ねぎの皮の外側をむいたり、にんじんをきれいに拭いたり、ビニールに入れる前のひと手間で、売り上げが全然違うのよ」と知人は言った。味に自信があるからこそ大切に扱い、見た目もきれいにして人の家のキッチンに届けたい。

そんな願いが伝わってくる整然とした包み方に、その家のお嬢さんが作ったラベルが貼られていくのを見ていたら、これなら野菜も心地よいだろうと思った。

畑から野菜を泥つきで採って、洗って家ですぐいただくというのも気持ちが良いものだが、いったん商店に入るとなると、作った人が、どういう気持ちで送り出しているかがわかるほうが安心だな、と心から思った。

 

たまに会津の農園から野菜を取り寄せる。義理の両親が会津出身なので親しみ深いことと、お義父さんが近所に住んでいたときには、同郷のものというだけで元気が出るだろうと、その野菜でスープを作っていた。

箱を開けたとたんに、青臭いような甘いようなすてきな匂いが漂う。

蜂が飛び交い交配するので、いろいろな形のかぼちゃができると説明書きには書いてあって、確かに箱の中には「こんなにたくさんかぼちゃを食べることができるのかなあ」と思うほどの大小様々なかぼちゃが入っていた。ビニールに入っていない、新聞紙に包まれた野菜たちは色とりどり、形もいろいろだけれど、みなきれいな姿でふんわりと収まっている。トマトなんて全部つぶれていてもおかしくないはずなのに、ぷりぷりのままそっと新聞紙から顔を出す。

 

一見雑然としているけれど、その中に小さな宇宙みたいなものがあって、泥つきでもないし、虫もいない。人が手と目を使って箱の中に調和をもたらしたことが伝わってくる。

さくさくと冷蔵庫にしまう前に、いったん深呼吸してみたくなるような、あまりの色の鮮やかさにまるで畑の真ん中に立っているような、そんな気持ちになる。

その包まれ方を見たら、なるべく捨てないで全部いただこうとまじめに思ってしまう、そういう野菜たちだ。

 

手作りなら、人の手が感じられれば、なんでもいいということはない。質がいいからこそ、思いやりがあるからこそ、ていねいに包みたくなるのだと思う。それが伝わってくるとき、幸福を感じる。

 

PROFILE
よしもとばなな:1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。著作は30カ国以上で翻訳出版されている。近著に『吹上奇譚 第三話ざしきわらし』(幻冬舎)などがある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

イラスト/牛久保雅美

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