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緑|ここちよく#11-吉本ばななー

作家・吉本ばななさんがここちよいと思うもの・ことについてつづるエッセイ。

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VOL.11 

 

見ているだけで幸せになるようなかっこいいデザインの、とても気に入っている鉄製の椅子がある。

座り心地も決して悪くはないけれど、剥き出しの鉄の部分が多いから大きな植木鉢を置くのに使っている。

冬場からずっと、大きな柱サボテンを置いていた。あまり水をあげてはいけないので、慎重に慎重に、土が乾いて真っ白くなってからたっぷりと水やりをして、またずっと水をあげない。そうやって暮らしてきた。

しかし遅くやってきてじめじめと長い梅雨に、水もあげていないのにあまりの湿気と陽当たりのなさに、いつのまにかサボテンが腐ってしまった。

気づいたときには後ろの二本が見えないところで真っ黒になっていて、せめて上の方を助け出そうとした「胴切り」もその季節ゆえに失敗してしまい、最後の最後に切り口にカビが生えて穴が開いたときには、「ごめん!そして負けた!」と思った。

手当の期間、そこにはサボテンを入れるカバーになっている黄色いバケツだけが置いてあったのだが、復活の望みがなくなると急に部屋が淋しく見えてきた。

ほんとうなら十年くらいのスパンでおつきあいしていくはずだった彼らが消えて、窓辺はとまどっているように見えた。

 

そのとき私はちょうど骨折していたので、そこに置く植物をネットで買おうかなと思って、いろいろなサイトを見てみた。

サイズや雰囲気はネット上でもわかる。でも、それ以上のことはどうにもわからないのは当然のことだ。わかっていても怖かった。大きな箱に入ってくるその植物を育てていけるかどうか。活きはいいのか、どんな土に植わっているのか。前にてきとうに買ってきたミントの根っこからぞろぞろ虫が出てきたことなども思い出したり。

やっぱり自分で見て選びたいなと思った。

そしてうちには猫がいる。サトイモ科もイチジクもゴムの木もポトスもアイビーもベンジャミンもジャスミンもスイセンもポインセチアもみんなだめなのだ。猫にとって毒があるものがこんなにも多いなんて!と驚かずにはいられない。

結局私はネット上ではどうしても決められなくて、骨折が少し回復してからゆっくりと花屋さんに歩いていった。そして小さなキウイを見つけて、抱きしめるように歩いて連れ帰ってきた。大きくなってくれるといいなと思いながら、また窓辺は華やかになった。

PROFILE
よしもとばなな:1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。著作は30カ国以上で翻訳出版されている。近著に『ミトンとふびん』(新潮社)などがある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

イラスト/牛久保雅美

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