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【マンガでひも解くスマートエイジング第5回】「あたしはあたしだもの」。明治34年生まれ、唯一無二の生き方。

新旧話題のマンガ作品からヒントをもらい、「スマートエイジング」について考える連載「マンガでひも解くスマートエイジング」。第5回にピックアップするマンガは…？

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オルビスには「スマートエイジング」という、「自分らしく、ここちよく年齢を重ねる」ことを大切にする考え方があります。スマートエイジングについて思う時、ふと浮かんでくるのは「そもそも、自分らしさとは？」、「美しさとは？」という根本的な問い。新旧話題のマンガ作品からヒントをもらって、一緒に考えてみませんか。スマートエイジング研究会マンガ支部部長　トミヤマユキコさんライター、東北芸術工科大学芸術学部講師。専門は日本のマンガ、文学、フードカルチャーなど。近著に『少女マンガのブサイク女子考』（左右社）がある。部員　編集M マンガデビューは「姫ちゃんのリボン」から。毎晩、就寝前のマンガは欠かさない。本日のマンガ「はいからさんが通る」著者・大和和紀 ©︎ 大和和紀／講談社舞台は大正時代の東京。主人公の花村紅緒と伊集院忍の恋の行方とともに、女学生、職業婦人、未亡人同然の身…と、人生の荒波に揉まれ成長していく紅緒の姿を描く名作。写真の豪華愛蔵版は全1巻、コミックスは全8巻。 M：今回、取り上げるのは「はいからさんが通る」ですね。ここでこの名作が登場するとは思ってませんでした！ト：正面からビューティの話をしているマンガではないんですが、人の“美しさ”を語る上で、紅緒ちゃんは外せないなと… M：かわいいですよね、紅緒ちゃん♡ ト：絵を見ると、とてもかわいく描かれているんですけど、読むと実は“誰もが思う美人”ではない設定になっているんですよ M：！！ト：月並みな言い方になってしまうけど、紅緒ちゃんが本当に魅力的な人だから、作中に登場する人たちはみんな彼女のことを好きになるし、ト：読み進めていくうちに、このビジュアルであることに何の違和感も持たなくなるんです（笑） M：違和感、全くなかったです…！ト：人って、いつでも冷静に、客観的に目の前の誰かを見ているわけじゃなくて、いろんな思いや気持ちをのせて、ある種のフィルターを通してその人を見ていると思うんですよト：だから、自分のことを鏡で見て、客観的にきれいだとか、きれいじゃないとかって悩む時間が、もしかしたらあまり意味がないかもしれないってト：紅緒ちゃんを見ていると思いますね。前向きに生きている人って、なんとなくキラキラしてくるというか、“生き様補正”みたいなものがかかるというか M：おそらく私の中で、その補正がかかった瞬間がここです（笑） ©︎ 大和和紀／講談社 M：「女らしくなるんだ」と、好きな剣道をやめて花嫁修行に励んでみた紅緒ちゃんが、「女らしくするってのは、ガラじゃないらしくって」とまた剣道をはじめるシーンで M：この言葉に彼女の前向きさが凝縮されていて、輝いて見えました… M：あと、この場合だと“女らしさ”ですけど、“こうすれば素敵になれる”と世間で言われていることだって、必ずしも自分を輝かせてくれるとは限らないよって体現してくれている気がしましたト：紅緒ちゃんは本当にいい動きをするんですよ（笑）。でも彼女は最初から、“私はこういう人間だから”という境地にいるかというと、そうではなくてト：無理することもあるし、常にトライ＆エラーをしているんですよね M：確かに。芸者になろうとした時期もありましたね（笑）ト：そうそう。作品のタイトルが「はいからさんが通る」になっていますけど、最初からパーフェクトに“はいからさん”なのって、親友の環の方で、紅緒はそうじゃないんですト：はいからさんになりたいんだけど、なりきれてない。でも諦めてもいない、という中で、環をはじめ、さまざまな女性たちと出会って、彼女たちに教えてもらい、支えてもらいながら、紅緒という素敵な人ができあがっていくト：実は“女同士の物語”として読んでも胸熱なんですよ〜！ M：そういえば、紅緒ちゃんが働くことになる出版社も、芸者の吉次さんの紹介でしたね M：「がんばるんですよ」と背中を押してくれて。そして紅緒ちゃんはバリバリ働く職業婦人に… ©︎ 大和和紀／講談社ト：作品の話のメインはラブコメなんですけど、恋愛を傍に置いて考えると、いろんな女性と出会いながら、自分はどうやったら、気高く、美しく生きていけるかみたいなことをト：紅緒ちゃんが体当たりで、トライ&エラーしながら模索していく物語になっていてト：で、本当に美しい生き方をしていると思うから、何回読んでも、いつ読んでも、ええ話やと。時代を超えても、輝きが色褪せない M：ちなみに、お話は関東大震災後で終わるわけですが、もし“その後”があるとしたら、紅緒ちゃんはどんなふうに年齢を重ねていくと思いますか？ M：私の予想だと、すんごく長生きするんじゃないのかなって勝手に思っているんですけど（笑）。投獄すらされても元気いっぱいな紅緒ちゃんなので ©︎ 大和和紀／講談社ト：年齢を重ねてシワもあって、おばあちゃんのはずなんだけど、エネルギーの塊みたいな人、になっているのかなと思いますね。エネルギーが循環している感じ、溢れ出ている感じというかト：それまでの生き方が、背骨のようにピンと1本通っていて、それが歳をとってからの紅緒ちゃんの美しさになっていくのかなとト：おばあちゃんになった紅緒の世界、読んでみたいですね「はいからさんが通る」著者・大和和紀 1975年〜1977年まで、「週刊少女フレンド」（講談社）で連載。その後、アニメや実写映画、舞台化もされ、世代を超えた人気の作品に。 ©︎ 大和和紀／講談社

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