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夜は、やさし。#2|今月の本「夜のピクニック」

私だけの「夜」。本を手に取って想像の世界へ旅立ってみませんか。さまざまな夜の魅力を堪能できる、特別な物語を紹介します。

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今月の本

「夜のピクニック」

高校生活を飾る一大イベント「歩行祭」。主人公の甲田貴子には、80kmを歩き終わるまでに変えたい関係性があった。長くて短い1日に、青春の輝きと切なさを追体験できる1冊。

(2005年 吉川英治文学新人賞受賞、本屋大賞受賞)

●恩田陸/著(新潮文庫)

 

通っている高校で毎年行われる「歩行祭」。80㎞ をただひたすら歩く主人公たちの1日を描いた『夜のピクニック』は、まさに夜の魅力を感じさせてくれる小説です。

昼間、歩きながら恋愛話をしようとした友達に、そんな話は夜まで取っておく、と主人公が返す場面があります。子どもと大人の境界線にいた頃、誰かに秘密を打ち明けるには、夜が欠かせなかったのです。

辛いとしか思えない行事でありながら経験した誰もが懐かしむのは、そのときにしか経験できないことには価値があると、あとで気づくからでしょう。この物語は読者に、懐かしさと同時に踏み出せなかったことに対する後悔を感じさせるかもしれません。だからこそ、次に頑張る勇気をもらえるはず。

今夜は、想像の中でピクニックに出かけてみませんか。

 

文=植田広美 イラスト=芳野

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