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重ねるほどに美しく#2|年月を経てなお輝く、木造建築の魅力

第二回:年月を経てなお輝く、木造建築の魅力
伊藤寛治さん・松太郎さん(伊藤工務店)
 

どうすれば、自分らしく歳を重ねていけるだろう? どうすれば、今日より明日、そして数年後の自分を楽しみに感じられるだろう?「重ねるほどに美しく」は、そのヒントを求めて、さまざまな分野で活躍する美の匠を訪ねる企画です。時の経過を大切にとらえ、未来に残る仕事を続ける職人たち。ここでは、そうした職人が生み出すものと、その一途な仕事ぶりから、年月を重ねることによって引き出される魅力を紐解きます。

第一回に続き今回も、長野県で無垢の木にこだわった建築を手がける伊藤工務店のお話。伊藤寛治さんと松太郎さんの親子に、年月を重ねるほどに美しく輝く家づくりの秘訣をお聞きします。

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念願の木の家は、100年経っても残り続ける家

八ケ岳や南アルプスを代表する甲斐駒ケ岳など、美しい山々に囲まれた山梨県の小渕沢。夏場の平均気温は20℃前後と過ごしやすいこの地に、伊藤工務店が手がけたやさしい趣の家があります。

迎えてくれたのは、2007年にこの家を建てたという高栄さんご夫婦。伊藤工務店との出会いは、一目惚れのようなものだったそう。「木と漆喰でできた田舎の実家が忘れられなくて、いつかまた木の家に住みたいと思っていました。そんな折に伊藤さんの建てた家に出会い、“この方にぜひ造ってもらいたい”と迷わずお願いしました」

平屋建ての家の中には、籠や古道具など品の良い調度があちこちに置かれ、上質なセンスが光る空間。よく磨かれてツヤツヤと光る床や柱、手入れの行き届いたヒノキのお風呂など、家の隅々から、この家に対するご夫婦の愛情が伝わってきます。

「ほら、クリの木でできたフローリングを見てください。梅雨の時季は床材の間がギュッと詰まるのだけど、冬になると夏場に蓄えた水分を放出し隙間が空くんです。それによって、冬でも湿度を保ってくれます。気候に応じて木が呼吸し、自然に湿度を調節するから、どんなお天気の日でも本当に気持ちがいいんですよ」と話す奥さんは満面の笑み。「伊藤さんのおかげで、100年以上長持ちする家が完成しました」とご主人も顔をほころばせます。

高栄ご夫妻の家。ご夫婦が大切に住んでいることが伝わる端正な空間でした。

カンナがけをした木肌は、なでたくなるほどの滑らかさ

「柱に触れるとね、伊藤さんが丁寧にカンナをかけてくれたことがよく分かるんです。手でカンナがけした後の木の肌触りは、機械で削るのとは全然違いますね」とご主人は話します。それを受けて、「長持ちする家を造るには、柱や床材にカンナがけを施して、木肌を滑らかに整える手間が欠かせません」と松太郎さんが言葉を添えます。カンナがけで木材がどのように変化するのか、伊藤さんの作業場でその技を見せてもらうことになりました。

縦2mほどの木材にカンナを当て、松太郎さんがそれをひと息に滑らせると、カンナの刃の先から、薄く削られた木くずが飛び出してきます。驚いたのは、松太郎さんがカンナがけをした後の木材の表面。まるでガラスのように凹凸のない滑らかな仕上がりで、繰り返し指の先でなでてしまうほどの心地良さでした。

「カンナがけは大工の基本。大切なのは、刃の調節です。時間をかけて、刃の出方を髪の毛1本のレベルの微細さで調節します。そうやってカンナがけをするのは、美しさを保つだけでなく、耐久性を高めるためでもある。きれいにかけると、木の表面の摩擦が少なくなって、水気を弾くんです

カンナとその調節を行う木づち。大工の命と言う通り、一つひとつ丁寧に手入れされた道具が並んでいました。

「華やか」であることと「美しい」ことは違う

木材一つひとつを丁寧に加工することのほかに、伊藤さんが大切にしているのが骨組みを考える工程。力のかかり方を見定めてデザインすると、構造が美しく映える家に仕上がるのだそう。

「重たい屋根を支えているのは、家の左右を貫く梁。けれど、上からの荷重を分散できなければ、梁はバチンと折れてしまいます。だから梁から柱、床へと力が上手に伝わるよう、各部材の太さや柱を立てる場所を入念に計算する必要があります」と寛治さん。さらにこう続けます。

「家の骨組みを見たときに、力が伝わる様子がはっきり見えます。装飾のためだけに太い梁を使っている家を時々見かけるけれど、どうにも違和感を覚えて仕方がありません。梁は、力がかかっているからこそ美しい。そして、家を形づくるすべての部材が各々の機能をきちんと果たしているさまこそ、美しい。僕はそう感じます」

そう熱っぽく語る寛治さん。その美意識に触れるにつれ、「華やか」であることと「美しい」ということは、まったく別物であることに気づかされます。

「意味のない部材が一つもない」という通り、すべての木材が美しく支え合い、伊藤工務店の建築を形作っています。

時が経つほど美しく。経年美化こそ、木の家の醍醐味

木造建築のもう一つの魅力は、年月を重ねることで味わいを増していくこと。木の色あいがこっくりと濃さを増し、表情豊かな木目が浮いてくることもあります。「家が色褪せてしまうか、美しさを増していくかは、住む人次第。住まう人の意識が、家の姿形に表れます」と松太郎さんは話します。

「木造建築は、建てて完成したら終わりではなく、むしろ建てたときがスタート。丁寧に住み続けることで、真新しい状態より20年後、30年後の方が、味わい深い表情を楽しむことができます。家は、そこに住む人が育てていくもの。僕たち工務店は、それを手助けするに過ぎません」

高栄さんのお宅も「10年を経て、外壁が随分落ち着いた色になってきました」と、ご主人が話していました。家にはその時々の良さがあり、「今が旬」ということはありません。そこに住む人が毎日をどう過ごすかによって、数年先、数十年先の表情が変わってくるのです。

木の家というのは、最初は最初で美しいし、年数が経てば経っただけの良さがあるもの。100年経っても美しく残る家は、その途中のどの瞬間においても、そのときにしかない美しさを持っています。そうあるように造りたいですね」


二回にわたってお届けした伊藤さん親子のインタビュー、いかがでしたか? 「木の家は、どの段階もそれぞれに美しい」というお二人の言葉が心に響きました。それはきっと、私たちの生き方にも通じること。

今も、5年後も、10年後も、いつだってそのときの美しさを大切にしたいし、さまざまな経験を経ることでにじみ出る美しさがある……そんなふうに感じます。

さて、第三回目は山梨のワイン醸造家、三澤彩奈さんにお話を伺います。8月上旬ごろの公開をお楽しみに。


職人気質の徹底したお仕事ぶりとは裏腹に、柔和な笑顔と優しい語り口が印象的なお二人でした。

<プロフィール>
伊藤寛治・松太郎(伊藤工務店)/大工

1984年設立。長野県・山梨県を中心とした自然豊かな土地で、無垢の木を生かし、気候や風土に合った建物を手がける。「継ぎ手」と呼ばれる伝統的な工法を用いるのが特徴。身を置くだけで気持ちが良くなる温かみに満ちた家は、次世代からその次の世代まで引き継げる、長く愛せる家として定評がある。

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