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「少し落ち込んだ日の22時」漫画編|22時からのここち時間#3

美土路奈々さんがお薦めする、気分を盛り上げる漫画3選

1日の終わりが近づく22時。それは、リラックスして過ごす自分時間の始まりです。せっかくの自分時間だから、感性を育む素敵なひとときにしよう!と企画したのが、「22時からのここち時間」。毎回、編集部おすすめの選者に声をかけ、心地のいい時間のための映画や音楽、書籍をご紹介していきます。

第3回目のテーマは「少し落ち込んだ日の22時」。仕事で小さなミスをしてしまった、今日は何となくツイてなかったーー。そんな少し気分が落ちた1日の終わりに、明日の自分に元気をくれる漫画を集めました。

セレクトいただいたのは、銀座 蔦屋書店の漫画コンシェルジュ、美土路奈々(みどろなな)さん。漫画で気分を上げるとき、美土路さんが特に大切にしているという3つの視点、「壮大な夢を見る」「純粋に笑う」「人の生き方に学ぶ」に沿って、おすすめの3冊をお届けします。

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壮大な夢を見て気分が晴れる1冊

『夢印』
著 : 浦沢直樹
発行 : 小学館
©︎浦沢直樹・N WOOD STUDIO / 小学館

“20世紀少年”、”BILLY BAT(ストーリー共同制作・長崎尚志)”など、次々と人気作品を生み出す浦沢直樹さんの最新作。ルーヴル美術館との共同プロジェクトということで執筆された本作は、パリのルーヴルが舞台の中心です。ストーリーは、どん底の借金生活を送る日本人の親娘が、ある人物との出会いをきっかけにとんでもない計画を実行するというもの。

「漫画のいいところは、現実からかけ離れた壮大な夢を見られるところ。特に”夢印”は、落ち込んだ気分を吹き飛ばしてしまうような1冊です。ぜひ最悪の状況でも夢を持ち続け、逆境を跳ね返す痛快な物語に浸ってください。あと、この漫画の一番のみどころをお伝えすると…実はもう1人の重要人物は、あの“イヤミ”なんですよ」

イヤミといえば、赤塚不二夫さんの名作”おそ松くん”の登場人物。最近ではリバイバルの”おそ松さん”で、再び注目を集めました。“夢印”では、「シェー!」のギャグで知られるイヤミが、ユーモアとミステリアスを兼ね備えた浦沢タッチのキャラクターとして登場するんです。

物語では、親娘とイヤミ、それぞれの抱く夢がルーヴル美術館を舞台に交差して…詳しく書くとネタバレになるので、続きは読んでからのお楽しみです。とにかく、張り巡らされた様々な伏線が、最後の最後に回収される爽快感がたまりません! 冒険や淡い恋物語、ミステリーといった多彩な要素が満載で、ドキドキしたり、じわ〜っと感動したり、少しほろりとしたり。夢をもつ素晴らしさを改めて考えさせてくれる、読み応えたっぷりの1冊でした。

 

純粋に笑いと元気を与えてくれる1冊

『ストップ!!ひばりくん!』
著 : 江口寿史
発行 : 小学館クリエイティブ
©️ 江口寿史/小学館クリエイティブ

次に選んでいただいた漫画は、“ストップ!!ひばりくん!”の新装丁版。80年代を代表する漫画家であり、イラストレーターとしても名高い江口寿史さんの代表作です。

表紙でギターを持つ主人公のひばりくんは、実は男の子。とってもかわいいルックスの彼(彼女?)に翻弄される同級生や、ぶっ飛んだ家族とのやり取りを描いたドタバタコメディです。

「晴れやかで、キュートな笑いが詰まった漫画です。とにかくひばりくんの圧倒的なキュートさに、注目してほしいですね。80年代のファッションやヘアメイク、色使いも魅力的で、“この装いは真似したいな”と明日の自分が待ち遠しくなりますよ。ひばりくんのストレートヘアは、永遠の憧れです」

美土路さんが言うように、80年代に一世を風靡した漫画ということで、その時代の空気感を味わえるのも楽しいところ。読んでいる最中、登場人物と一緒に遊んでいるような楽しさに包まれます。そして、ひばりくんの小悪魔的な振る舞いの一つひとつがとってもチャーミング。意地になってすねてみたり、やきもちをやいてみたり…「こんなふうに、素直な気持ちで相手に向き合いたいな」と思わず憧れてしまいます。ハチャメチャだけど魅力いっぱいのひばりくんに、元気をもらえる漫画でした。

 

「とにかく前進するしかない」と、腹をくくれる1冊

『ポリーナ』
著 : バスティアン・ヴィヴェス 訳 : 原正人
発行 : 小学館集英社プロダクション

©️ 2011 Casterman

最後は、ちょっと趣向を変えてフランスの漫画“ポリーナ”をご紹介します。1人のバレリーナの挫折と成功、バレエの先生との十数年にわたる関係を描いた感動作です。

ページをめくると、絵とセリフから醸し出される静かな雰囲気に、日本の漫画とはまったく異なる世界観を感じます。線とベタ塗りのみで描かれ、1コマ1コマがまるでアート作品のような美しさ。

「この作品は、フランスでは“バンド・デシネ(フランス語圏のコミック)”と呼ばれるもので、クールな印象があります。でも、セリフ中心のストーリーを追っていくと、次第に登場人物に感情移入していきますよ」

読んでいると、短く力強いセリフの数々が心に刺さってきます。「ダンスは複雑だわ、でも現実はシンプルよ」。そんな言葉の端々に、バレリーナというストイックな人生を歩む苦悩と希望が見え隠れするんです。

主人公ポリーナは作中、所属するバレエ団を変えたり、恩師のもとを離れたりと、さまざまな決断をします。ただどんなときも、“バレエがない人生”という選択は心になく、紆余曲折しながら一流バレリーナへの階段を登っていくんです。そんな彼女を見ていると、「とにかくやるしかない」「やり続けることが大事なんだ」と勇気が湧いてきます。

人生には、本当に大切なものを見極める局面が、何度も訪れるもの。 ポリーナの人生を追体験していると、そういった瞬間が自分の人生においても同様に存在し、その繰り返しで今があるんだなと実感させられます。芯を持ち、前を向いて歩いていこうと奮い立たせてくれる1冊でした。

 

<vol.3を終えて>

「少し落ち込んだ日の22時」に読みたい3冊、いかがでしたか? 今回ご紹介した3冊はそれぞれ異なる視点で選んでいただきましたが、共通しているのは、自分の気持ちを切り替えてくれること。

「漫画は、落ち込んだときでもすっと心の中に入ってきてくれます。凹んだことを小さく思えるような世界がそこには広がっていて、自然と気持ちを前向きにしてくれる、頼もしい存在なんです」

そのキラキラした表情から、美土路さんの漫画へのあふれるほどの愛情が伝わってきました。私たちも、少し落ち込んだ日の夜のために、この3冊をお守りとしてそばに置いておこうと思います。

さて、次回のテーマは「雨の日の22時」。音楽家の永原真夏さんに、少しアンニュイな雨の日に聴きたい音楽をご紹介いただきます。


お話を伺ったのは……

美土路 奈々/銀座 蔦屋書店 漫画コンシェルジュ

蔦屋書店入社3年目。銀座 蔦屋書店の店舗の立ち上げプロジェクトから携わる。現在は、銀座 蔦屋書店の漫画のコンシェルジュとして、選書を手がける。「古き良き漫画を残したい」という想いから、過去の作品をフィーチャーしたイベントなども企画。

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