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価値のあるものがじぶんのなかにすでにあるということを知る

To have that sense of one's intrinsic worth

ジョーン・ディディオン (作家/ 1934 - )


小説とノンフィクションの世界、両方で活躍するジョーン・ディディオンはアメリカでたいへんに尊敬されている作家です。

1960年代にはロサンジェルスに住んで、ジャニス・ジョプリンやドアーズのジム・モリソンといった当時のセレブリティたちと交流をもち、華やかな暮らしをしていたことでも知られています。その当時から独特の感性で時代を切り取り、さまざまなエッセイを書いてきました。

一緒に『スター誕生』(1976)や『アンカーウーマン』(1996)といった映画の脚本を手がけてきた夫を亡くしたときも、その悲しみを深く見つめて『悲しみにある者』(2005)というエッセイ集を発表し、全米でベストセラーとなりました。最近ではディディオンを尊敬する女性アーティストも多く、女優で映画監督のグレタ・ガーウィグも、映画『レディ・バード』の冒頭に、故郷サクラメントの先輩である彼女の言葉を引用しています。

 

今回の言葉は、彼女が1961年にファッション誌『ヴォーグ』で発表した「じぶんを好きになることについて」からの一節です。自分の価値を認めるのは難しい、自分を好きになろうと決めて立ち向かっていかないとなかなか実現しないと語っています。でも、そうしないと、他人から冷たくあしらわれたり、欠点をあげつらわれたりしてその人を憎んでしまったり、他人の目に映る自分を本当の姿だと信じてしまうようになる――。

そうならないためには自分の内側を見つめ、見失わないことが大事です。自分を好きになることは「じぶんがだれであり、なんであるかを思い出す手伝いをしてくれる」のです。それができれば「きっと、なんでも手に入る」とディディオンは書いています。

他人の言うことを気にせず生きていくこともできるし、自分にとって何が大事なのかも理解できるし、他人を愛することもできる。これは自分の美しさを認めることにもつながっていく、大事な考えだと思います。真の美しさは、自分の内側に、自分が備えもっているものの中にあるのです。

 

 

 

引用元:『ベツレヘムに向け、身を屈めて』(筑摩書房) 著:ジョーン・ディディオン 訳:青山 南

 

Profile
山崎まどか
コラムニスト、翻訳家。『ビバ! 私はメキシコの転校生』(偕成社)でデビュー。著書に『優雅な読書が最高の復讐である』(DU BOOKS)など。

イラスト/黒木仁史 構成/中島宏枝

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