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ここちよく、前向きに生きるためのヒントを、著名な女性の言葉や映画のセリフなど、今なお色鮮やかに残る“名フレーズ”から導きます。

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どういうときに自分はベストな状態にあるかを知っておくのがなにより大事

One of the most important things they need to know is when they are their best, creatively.

トニ・モリスン(作家/1931-)


1970年に『青い眼が欲しい』で小説家としてデビューし、1993 年にアメリカの黒人作家として初めてノーベル文学賞に輝いたトニ・モリスン。人種差別やアフリカ系アメリカ人の文化を取り上げ、詩的な物語を紡いできた彼女は、今やアメリカ文学界を代表する存在です。2006 年までは名門プリンストン大学で教壇に立ち、教師としても実績を築いてきました。

そんな彼女が小説家を目指す大学生たちにいつも言うのが、今回取り上げた言葉だといいます。小説を書き始めた頃、モリスンはまだ出版社で働く社員で、小さな子どもを抱える母親でもありました。おのずと、執筆に充てられる時間は限られてきます。彼女はいつも夜明け前に起きて、早朝から小説を書いていたそうです。執筆を終えてから子どもたちの朝食を作り、会社に出勤するという慌ただしい日々だったのでしょう。

必要に迫られてできた習慣でしたが、その後、出版社を退職してフルタイムの作家になってからしばらくは、逆に自分のペースをつかめず苦労したとインタビューで語っています。大作『 ビラヴド』を書いているときに、「自分が頭がくっきりしていて、自信がもてて、わりあい賢くなれるのは朝なんだ」と気がついたということです。

人には仕事や作業に集中するための“ 儀式”のようなプロセスがあります。モリスンにとってそれは、まだ暗いうちにコーヒーを淹れ、部屋に光が差してくるのを眺めること。陽が沈むと「ウィットも働かないし、あまり想像力もうごかない」。そのことから彼女は、自分がベストの力を発揮できる環境を把握することの大事さを学んだのです。

音楽が流れていたほうがいいのか、それとも静かなほうがいいのか。自分のデスクや部屋は散らかっていたほうが落ち着くのか、それとも整理整頓していないとダメなのか。よく考えて、目の前にある作業に没頭できるように環境を整える。そうやって自分にとって何が一番いいのかを考えること自体が、自分を知り、力を引き出すのに大切な気づきを与えてくれるプロセスなのでしょう。

 

 

 

引用元:『作家はどうやって小説を書くのか、じっくり聞いてみよう!(パリ・レヴュー・インタヴューⅠ)』(岩波書店) 編訳:青山 南

Profile
山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。『ビバ! 私はメキシコの転校生』(偕成社)でデビュー。著書に『優雅な読書が最高の復讐である』(DU BOOKS)など。

イラスト/黒木仁史 構成/中島宏枝

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