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南インドの住宅街|世界のここち巡り#2

トラベルライターが体験した、世界各地の「ここちよさ」を感じるスポットとは。

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南インドの住宅街

女たちが腰をかがめ、さらさらと指先から粉を落としながら動く。すると、地面の上に花が開いた。

夜明け前に懐中電灯を持って宿を出た私は、以前、ここ南インドのタミル・ナードゥ州を訪れた際にもった疑問「玄関前にある床絵、コーラムはどのように描かれているのか」にようやく答えを見つけた。ささっと簡易に描く人もいれば、アウトラインを完成させてから色をつけていく人もいる。住宅街を眺めて歩くのが楽しい。

米粉を画材にして描くのはいかにも稲作の盛んな土地柄らしい。女たちが朝一番にコーラムを描く理由は一つだ。「家に幸せが訪れますように」。うっかり踏みつけては、とそろりそろりと歩いていると、おばあさんが声をかけてきた。「踏んでいいんだよ」。そうタミル語で言われた気がしてその場で足踏みをしてみたら、「通じたね」とにんまり。こちらも、にんまり。

魔除けの意味ももつコーラム。日の出前、女性が玄関前に水を撒いて汚れを洗い清めてから、祈りを込めて描く。
踏まれたり鳥に食べられたりして夜には薄くなっていると、縁起がよいのだとか。

 

 

Profile
朝比奈千鶴
トラベルライター。「暮らしの延長線の旅」をテーマに、各地を訪ね歩く。観光を通した暮らし、文化継承の活動にも携わっている。

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