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『わたしのいるところ』|ひとり時間は読書時間#3

心がほっとあたたかくなったり、生きるヒントを得たり……。幸せな気づきを与えてくれる一冊を、コラムニスト・山崎まどかさんが紹介します。

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休日の一冊

『わたしのいるところ』(新潮社)
ジュンパ・ラヒリ・著 中嶋浩郎・訳
「歩くこと」が思考と文化に深く結びつき、創造力の源泉であることを解き明かす歴史的傑作。

『その名にちなんで』など、アメリカのインド系移民を主人公にした物語で知られるジュンパ・ラヒリ。イタリアで暮らした経験をもとにした彼女の新しい挑戦は、イタリア語による作品の執筆でした。

エッセイ集『べつの言葉で』に続く第二弾は、ローマらしき街に暮らす四十代の女性を主人公にした長編小説です。名前を明かされていないヒロインは大学で詩を教える独身女性。「トラットリアで」「美術館で」「ホテルで」といった彼女がいる場所のタイトルがついたショート・ストーリーからなる連作になっています。

街を歩き、人生の日々を積み重ねる中で、彼女は自分の女友達と結婚したかつての恋人に会い、疎遠になってしまった昔の親友に会い、密かにシンパシーを抱く亡命詩人に会います。人は穏やかな生活を送っているように見えても、その胸の奥底はその人にしかわからない痛みや不安、小さな喜びにあふれている。ラヒリの言葉から浮かび上がってくる「わたし」は自分のことかもしれない。そう思えてくる作品です。

 

Profile
山崎まどか
コラムニスト、翻訳家。『ビバ! 私はメキシコの転校生』(偕成社)でデビュー。著書に『優雅な読書が最高の復讐である』(DU BOOKS)など。

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