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きょうの夢ごこち|小林エリカさんエッセイ#10

作家・小林エリカさんのスペシャルエッセイをお届けします。

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きょうの夢ごこち|小林エリカさんエッセイ#10

皿の上に置いた黒い種に小さな割れ目ができる。そこから細い根と茎が飛び出す。茎はきれいな赤色だ。芽が出て、葉が開き、蔓(つる)がからみ、やがて花が咲くのを心待ちにする。このところずっと、朝顔の観察をしている。

ずいぶん以前にいただいた朝顔の種をついに育ててみることにした。いただいた種は「東京古型標準」という名前のものらしい。日本にもちこまれたときの原種に近い姿をしているといわれる、朝顔のなかの朝顔。朝顔のゲノムDNA配列決定の材料にも用いられた、由緒正しき朝顔なのだとか。

 

思い起こせば朝顔の観察なんて小学生の頃以来だったが、なかなか日々変化があって楽しい。種とあわせて『ぜんぶわかる! アサガオ(しぜんのひみつ写真館)』(渡邉弘晴著、仁田坂英二監修、ポプラ社)という写真絵本もいただいたのだが、それもまた面白い。

もとはといえば朝顔は、奈良時代のおわり頃、遣唐使によって中国から薬としてもちこまれ、朝廷の薬園で栽培されていたのだそう。江戸時代になると、さまざまな色や模様の変化朝顔が幾つもつくられるようになり、その数は1000種類を超えるとか。はじめて知った。

実のところ、私の中で植物を育てることは、永遠の憧れだ。庭に咲いた花を花瓶に活け、摘んだ薬草でお茶を淹れ……みたいな生活は、想像するだにうっとりする。そうして私はしばしば発作的にミントやなにかの鉢植えを買ってはみるものの、気づくと鉢が干上がっていたり、水をあげすぎては根腐れしてしまったりと、うまくいった試しがない。

 

けれど、この頃は家から出たくても出られない日も多いので、今度こそは!という意気込みである。いまのところ、順調に葉が出ている。朝顔の開花に合わせて、早起きさえしてみようと、いまから意気込む。

 

 

文と絵
小林エリカ

作家・マンガ家。『マダム・キュリーと朝食を』(集英社)で芥川賞・三島賞候補に。新刊は光の科学史を辿る『光の子ども3』(リトルモア)、『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社)

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