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『結婚式のメンバー』|ひとり時間は読書時間#8

心がほっとあたたかくなったり、生きるヒントを得たり……。幸せな気づきを与えてくれる一冊を、コラムニスト・山崎まどかさんが紹介します。

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休日の一冊

『結婚式のメンバー』(新潮文庫)
カーソン・マッカラーズ・著
村上春樹・訳
狂おしいまでに多感で孤独な少女の心理を、繊細な文体で描き上げた女性作家の最高傑作。

1940年代、自身の出身地であるアメリカ南部の人々を描いたカーソン・マッカラーズ。この小説は50歳で亡くなった彼女が残した数少ない小説の一つです。

主人公のフランキーは12歳。家に通ってくる料理人のベレニスと、まだ幼いいとこのジョン・ヘンリーしか遊び相手のいない、孤独な少女です。中性的な彼女は同世代の少女たちとなじめずにいます。まったくの子どもではないけれど、まだ大人でもなく、保守的な田舎の女性コミュニティの萌芽である女の子のグループも苦手。彼女は不満と外の世界への憧れではちきれそうです。

彼女の希望は、もうすぐ行われる兄の結婚式。フランキーはこの新婚夫婦と仲間になって、自分も家から出ていくのだと勝手に夢を見て、妄想をふくらませています。ここではないどこかに行きたい、今の自分ではない何かになりたいという思春期の切望とその焦燥感を、これほどまでに鮮烈に描き出した物語もありません。描かれている風景から、自分が10代だったときの感覚も蘇ってくるような、永遠の名作です。

 

Profile
山崎まどか
コラムニスト、翻訳家。『ビバ! 私はメキシコの転校生』(偕成社)でデビュー。著書に『優雅な読書が最高の復讐である』(DU BOOKS)など。

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