数%の負荷をかけているのが
自分の基本 Miwa Nishikawa, 25 Jun 2021

一定のストレスがあるのが自分の基本というか、そのほうが安定するんですよね。どの局面においても、ずっと考え事をしているっていうのかな。たぶん貧乏性っていうのもあると思うんですけど(笑)。

1本出来上がったら爽快な気持ちになるのではなくて、出来上がった瞬間から「次どうしようか」って思い始める。勤勉なわけじゃなくて、次のネタを自分で掘り起こさないと、仕事が続いていかないんです。そうやって回遊魚のように、仕事に迫られながら考え事をしているっていうのが自分の基本なんだと思います。

過去に、しっかり遊ぼうと思ってヨーロッパで絵に描いたようなバカンスを取ったこともあるんですよ。友達と現地で落ち合って、イタリアの島に行ったりして。それでも結局、むちゃくちゃ景色がいいところで仕事していましたからね(笑)。地中海を前にしながら、リラックスはしているんだけど、数%の負荷をかけている。これが基本で一番落ち着くんだと思います。

PROFILE

西川 美和
早稲田大学在学中に、是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』にスタッフとして参加。卒業後はフリーランスの助監督として活動する。2002年にオリジナル脚本の『蛇イチゴ』で映画監督デビューし、長編2作目の『ゆれる』はカンヌ国際映画祭に正式出品される。2015年には直木賞候補にもなった小説『永い言い訳』を上梓。翌年、同作の映画が公開になる。2021年の2月には最新作『すばらしき世界』が公開された。