ラジオという
コミュニケーションツール Miwa Nishikawa, 25 Jun 2021

東京で暮らすことの良さって、人と知り合うことだと思うし、人とコミュニケーションが取れるっていうところだと思うんですよね。だから、こういう世の中になる前は、誰かとお酒を飲みに行ってたくさん喋ることが息抜きになっていたんだけど、それができなくなっちゃって。

重要な議題は片付けて、その先の余分なコミュニケーションがあってこその人間関係なのに、それを制限されるっていうのは非常に辛いですよね。私もこの1年、撮影などの共同作業以外はほとんど家に閉じこもる生活をするようになっていました。

そういう中で、人がくだらない話をして笑っているところを聞いていたい、というのがラジオだと叶うんです。ラジオって部室にいるような感覚に近いんですよね。絶対に聞かなきゃいけない強迫観念はないのに、毎回聞いてこそどんどん距離が詰まってくる心地の良い内輪感。

だから、友達に会うような感覚でラジオを1日数時間聞いています。私にとってはコミュニケーションなんですよね。

PROFILE

西川 美和
早稲田大学在学中に、是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』にスタッフとして参加。卒業後はフリーランスの助監督として活動する。2002年にオリジナル脚本の『蛇イチゴ』で映画監督デビューし、長編2作目の『ゆれる』はカンヌ国際映画祭に正式出品される。2015年には直木賞候補にもなった小説『永い言い訳』を上梓。翌年、同作の映画が公開になる。2021年の2月には最新作『すばらしき世界』が公開された。