環境配慮と価格維持の両立を目指して。お客様の生活に寄り添うプロダクトデザインの工夫|オルビスの舞台裏#3(後編)
Webマガジン限定企画「オルビスの舞台裏」(略して「オル裏」)では、ふだん見ることのない舞台裏にスポットライトをオン!オルビスの商品やサービスが生まれるまでのトライ&エラーに迫ります。#3後編の今回は、2026年4月頃から順次パッケージチェンジとなる「オルビス ディフェンセラ(特定保健用食品)」を取り上げ、プロダクトデザインの工夫に着目していきます!
\舞台裏に潜入するのは/
- 美容ライター 米山奈津美
- 美容好き&雑誌好きが高じ、ビューティエディターに。ヘア専門誌編集部を経て2019年より「WWD BEAUTY」編集部に所属。その後独立し、「GINGER」や「andGIRL」など女性ファッション誌の美容企画や書籍の企画・編集、美容メーカーのオウンドメディアの立ち上げに携わる。
前編では「オルビス リンクル ブライトUV プロテクター N」(医薬部外品)のリニューアルについてお伺いしてきましたが、ココからは「オルビス ディフェンセラ」(特定保健用食品)のリニューアルについても深掘りしていきましょう!
前編を含む過去記事を読みたい方は記事文末のリンクからCHECKして!
\スポットライトを当てる人/
- 商品企画部・プロダクトデザイングループ 小林 洋巳
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およそ20年にわたり、ポーラオルビスグループの化粧品パッケージデザインに取り組む。「オルビスユーシリーズ」や「オルビス ディフェンセラ」(特定用保険食品)といったブランドを代表するアイテムのデザインを担当。近年はマネージメントやデザインの監修に注力していたが、このたび「ディフェンセラ」のパッケージリニューアルを手がける。
- 商品企画部・外注管理グループ 田﨑 梨沙
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2023年入社。前職2社で冷凍食品や健康食品、サプリメントの商品開発に携わった経験を活かし、オルビスでも引き続き、健康食品やサプリメントの商品開発を担当。処方の模索や、製造工場の選定、パッケージデザインの検討など、商品を形にするため多岐にわたる業務に取り組む。小林に「オルビス ディフェンセラ」のパッケージリニューアルを持ちかけた張本人。
- 商品企画部・プロダクトデザイングループ 李 素和
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飲料や日用品に至るまでさまざまな商品のパッケージデザインを手がけた前職での経験を活かし、2024年にオルビスに入社。2025年6月に発売されたリフレッシング スキン トナーや同年8月にリニューアルした「オルビス ザ リンクルセラム」(医薬部外品)などを手がける。今回は小林さんとともに「オルビス リンクル ブライトUV プロテクター N」(医薬部外品)を担当。
コメ価格高騰の影響はオルビスにも波及。商品の価格を維持したいという思いから刷新
リニューアルというと成分や容量といった中身も変更になることがほとんどですが、「オルビス ディフェンセラ」はパッケージのみのリニューアルとのこと。その背景には、2024年から続くお米の価格高騰がありました。

田﨑実は「オルビス ディフェンセラ」のキー成分は、お米由来のセラミド*1です。原料の高騰により、販売価格を上げざるを得ない状況に直面したんです。しかし、「オルビス ディフェンセラ」は食品カテゴリーの中でも特にお客様に愛用していただいている商品なのでなんとか価格をキープできないかを考えました。 ただし、「トクホ」に認定されている中身の処方はそのままに、なんとか価格をキープできないかと考え、パッケージを見直せないかと、小林に相談したんです。
一般的には原料価格の高騰に直面すると販売価格を見直す傾向にある中で、「オルビス ディフェンセラ」は田﨑さんの熱意から価格維持を模索することに。

小林偶然にも配送コスト削減という視点からパッケージをコンパクトにする構想を練っていたので、よいタイミングでした。3代目「リンクルブライトUVプロテクター」のチューブを小さくすることでコスト削減と環境への配慮に成功した経験が後押しになりました。

田﨑化粧箱のコンパクト化と、個包装の短縮の2軸でリニューアルを進めました。まず化粧箱の形状を正方形から長方形にすることで、より小さな梱包かつ少ない配送料でお届けすることを可能にしました。紙の使用量削減と輸送効率のアップにもつながり、環境負荷の削減もかなえることができたんです。

田﨑また「オルビス ディフェンセラ」は1箱に30包入っているため、個包装を1cm短くするだけでもアルミの使用量削減につながります。何万個と販売する人気商品だからこそ、化粧箱と個包装の両方を変更することで資材と送料の大幅な削減となり、価格の維持を実現することができました。

田﨑レターパックにも入る封筒用のパッケージにするために、化粧箱をなくすという案もありました。しかし愛用してくださっているお客様のライフスタイルを考慮して、化粧箱は残すことに。自宅やオフィスで箱のまま収納できる、店舗での陳列がしやすい——そうした声に応えるためです。配送コストを削減しながら、使いやすさはしっかりと守りました。
環境配慮は令和を生きるデザイナーの宿命
――プロダクトデザインが環境への配慮につながるということを今回初めて知りました。

小林ポーラ・オルビス ホールディングスでは2029年までに、化粧品プラスチック容器・包材について4R(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル)にもとづく環境に配慮した製品の投入を掲げています。全ての商品で4Rのうち1つには取り組もうと、進めている最中です。オルビスは創業当時から、あんぱんの包装から着想を得たピロー包装や、詰め替え用商品の販売など環境に配慮したシンプルな包装に積極的に取り組んできました。
―― 美しいプロダクトデザインと環境への配慮の両立は難しいのでは?

小林化粧品は美を作るプロダクトであり、工業製品感を出さないことがデザイナーの腕の見せ所。そういう意味では環境への配慮とは逆行してしまう側面がありました。「なるべくならやりたくない」が正直な本心でしたね。ですが、欧米では当然のことになっていますし、日本にもその波は押し寄せつつあります。環境への配慮とデザインを両立することは、令和を生きるデザイナーの宿命でしょう。「環境に配慮したからこのデザインになったのは仕方がない」という妥協はやめよう。コスト削減も同じです。
―― 最後に今後のオルビスのプロダクトデザインの展望を教えてください。

小林利益の追求ではなく、お客様に商品を長く愛用していただくために価格の維持や環境への配慮にプロダクトデザインで取り組もうとするとき、ポーラ・オルビスグループの中でもオルビスは最適なブランドだと考えています。創業当時からの思想があることで、市場の中でオルビスらしさとして受け入れてもらえると信じています。

小林数年前には配送コスト削減のためお届け用のダンボールをビューティブランドでは一般的だった白から茶色に変えましたが、「オルビスは工夫することで、販売価格を上げずに頑張ってくれている」とこちらの不安に反してポジティブなお声をいただくことができました。お客様の声を反映しながら、一緒にモノ作りを続けていけば、10年後、20年後も愛され続けるブランドでいられるのではないでしょうか。

李オルビスが積み重ねてきた歴史の中で、環境に配慮しコストを切り詰める精神があり、それを支持してくださるお客様がいることは大きな励みになっています。今後も原価高騰やコストの課題に直面することはたくさんあるでしょう。デザイナーとして課題を受け止めた上で、最大限に美しく手に取りやすい形を模索するために努力は惜しみません。

田﨑オルビスのブランド価値を損なうことなく、安定して商品を届けることができるように、調整することが私の使命です。お客様に長く使い続けていただけるように、引き続き頑張って開発していきます!
奥ゆかしさを感じるオルビスのプロダクトデザイン
#2とはまた一味違ったプロダクトデザインのお話はいかがでしたか。単なる見た目の領域を超えて、価格の維持や環境への配慮にも大きなインパクトを持っていることに驚いた人は多いのでは。すべてはお客様が長く心地よく使えるように。そんなオルビスの想いが、商品を手に取るたびに伝わってきます。
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#2 暮らしの中でここちよさを紡ぐ オルビスの“プロダクトデザイン”の役割とは?
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企画・編集/清水尚美
取材・文/米山奈津美
撮影/武井メグミ






















