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腰痛、尿もれ、骨折も? 骨盤の“ズレ”が引き起こす悩み|なんでも相談室「今日はどうされましたか?」#29

〈隔月10日更新!〉スキンケアに関する疑問から、カラダのお悩み、生活習慣のことまで、みなさんが気になることならなんでもOKの相談室。毎回、1つの悩みをテーマとして取り上げ、お答えしていきます。

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お悩みにお答えするのは…
相談員 澤木一貴

パーソナルトレーナー、SAWAKI GYM代表。整形外科で経験を積み、医学的な知見を活かして多くのパーソナルトレーナーを育成。プロで活躍するスポーツ選手から小学生、高齢者まで幅広い指導経験を持つ。近著『体力おばけへの道 頭も体も疲れにくくなるスゴイ運動』(KADOKAWA)を始め、多くの著書を執筆。

助手 清水 尚美

高身長(小学生で167cm、現在172cm)がコンプレックスで猫背気味だった幼少時を経て、大人になってからは「姿勢を良くしなきゃ!」と意識を変えた結果、反り腰に…! 肋骨の開き(出っ張り)と前ももの張りが気になっている。


本日のお悩み

座り姿勢を続けていると、なんだかしんどい…。これって骨盤のゆがみと何か関係あるの?

最近、座ったままの姿勢を続けていると腰のあたりに違和感を感じ、しんどくなることが度々あります。通っている接骨院で「骨盤がゆがんでいる」と言われましたが、骨盤が原因なのでしょうか?

骨盤のあるべき“ニュートラル”な位置とは?

写真:清水
清水
そもそも、骨盤ってどの部位のことを指すのでしょう?

写真:澤木
澤木
腰周辺の骨の総称を骨盤といいます。具体的には、背骨の延長線上にある「仙骨(せんこつ)」、腸骨、恥骨、坐骨からなる「寛骨(かんこつ)」、尻尾の名残である「尾骨(びこつ)」、この3つの骨のことを骨盤と呼んでいます。

写真:澤木
澤木
出産の際に一時的に形状を変化することはあれど、通常は骨盤が開いたり、閉じたりすることはありません。医学的に“骨盤がゆがむ、ズレる”ことはないんです。

写真:清水
清水
骨そのものが動くことはない、と。

写真:澤木
澤木
そういうことです。みなさんが“ゆがみ、ズレ”と認識しているのは主に理想的な位置(ニュートラル)よりも骨盤が“前に傾いている(前傾)”か、“後ろに傾いている(後傾)”か、左右に傾いているか(側方傾斜)、左右に捻じれているか(水平回旋)かといった“傾き”のこと。

写真:清水
清水
骨盤がニュートラルな位置にあるか気になります…。自分でチェックできますか?

写真:澤木
澤木
できますよ!壁に後頭部とお尻、かかとをつけて立ち、壁と腰にできた隙間を確認しましょう。

A:手のひら2枚入るほどの隙間が空いている人の骨盤の位置は…
『前傾』

B:手のひら1枚全入るほどの隙間が空いている人の骨盤の位置は…
『ニュートラル』(正常)

C:手のひらが全く入らないほど隙間がない人の骨盤の位置は…
『後傾』

毎日の簡単ストレッチで筋肉に刺激を入れ、骨盤をチューニング

写真:清水
清水
骨盤が理想の状態よりも前後に傾いていると、どんな影響があるのでしょうか?

写真:澤木
澤木
あらゆるところに影響があります。例えば、筋肉のつき方。骨盤は上半身と下半身を繋ぎ、体の動きを連動させていますから、重要な筋肉とも繋がっているんです。骨盤の傾き次第で筋肉のつき方がアンバランスになり、また、筋肉のバランスが悪いと骨盤が余計に傾く。その傾きが悪化すると、腰痛や下半身のしびれ、尿もれといった症状に繋がります。具体的な症状例については、後半でお話しますよ。

写真:清水
清水
筋肉のバランスが悪いと骨盤が余計に傾く、ということは、足りていない筋肉を鍛えて整えることが骨盤の傾きを改善することになるのでしょうか?

写真:澤木
澤木
その通りです。前傾の方は腸腰筋(上半身と下半身を繋ぐインナーマッスル)と脊柱起立筋(背骨の筋肉)が強く、ハムストリング(ももの裏側の筋肉)と大臀筋(お尻の筋肉)、腹直筋(お腹の前面にある筋肉)が弱い傾向にあります。後傾の方はその逆。骨盤の傾きタイプに合った筋肉の鍛え方をお教えしますから、今日からぜひ実践してください!

\前傾タイプのストレッチ/

鍛えたいターゲット筋肉
ハムストリング(ももの裏側)と大臀筋(お尻)、腹直筋(お腹の前面)

How to

仰向けになり片方の足の裏が天井を向くまで上げて、もも裏を伸ばす。膝はなるべく曲げない方がベター。体が硬い場合はタオルをつま先にかけ、足が上がるところまで伸ばす。その状態を30秒キープ。反対の足も同様に行う。

\後傾タイプのストレッチ/

鍛えたいターゲット筋肉
鍛えたいターゲット筋肉:腸腰筋(腰周り)と脊柱起立筋(背骨)

How to

仰向けになり、片方の膝を軽く立てる。もう片方の膝を両手で抱え、胸元にグッと引き寄せる。その状態を30秒キープ。反対の足も同様に行う。

写真:澤木
澤木
ストレッチを行うのは好きなタイミングで構いません。ただし、毎日続けることが大切です!

腰痛、手足のしびれ、尿もれも…。骨盤の傾き具合で現れるさまざまな症状

写真:清水
清水
骨盤の傾きすぎを放置すると、将来、体にどんなことが起こりうるのでしょうか?

写真:澤木
澤木
前傾か後傾かで骨と筋肉にかかる負荷に違いが出るため、症状にもそれぞれ傾向があります。例えば、前傾で反り腰気味の方は手足のしびれや痛み、尿もれ、背中の痛みを経験する傾向にあります。

写真:澤木
澤木
また、骨盤が前傾している方は、骨盤の底にある筋肉の集まり・骨盤底筋群が緩みやすい状態。骨盤底筋群は尿道、肛門の周囲にあり、排泄をコントロールする働きがありますので、骨盤底筋群が弱まることで尿もれなどを経験することもあるでしょう。

写真:清水
清水
そんなところにも影響が…。骨盤の影響を甘くみてはダメですね…。

写真:澤木
澤木
一方、後傾の方に気をつけていただきたいのは、強い痛みと手足のしびれが伴う「椎間板ヘルニア」と、転倒や重い荷物を持ち上げるだけで腰の骨が折れてしまう「腰椎圧迫骨折」です。どちらも骨盤が後傾であることで背骨のS字カーブが失われ、椎間板を含む腰椎への負担がかかることで起こります。

骨盤は体の要。アンバランスに傾く習慣を減らし、毎日コツコツ整えていこう

写真:清水
清水
ヘルニアから骨折、尿もれまで、骨盤の影響力ってとても大きいですね。

写真:澤木
澤木
だからこそ、骨盤が変に傾く習慣を減らすことが大切。具体的には、「坐骨で座る」、「足を組まない」、「同じ姿勢を長時間続けない」。この3つを守っていただきたいです。まず、坐骨で座るとは、お尻の下に手を入れた時に当たる左右2つの骨(坐骨)に体重をかけて座ること。そうすることで、骨盤がニュートラルの位置に立ち上がります。

写真:清水
清水
足を組むのはダメなんですね…。気づいたら足を組んでることが結構あります。

写真:澤木
澤木
足を組むことは骨盤を上下・左右にねじれさせてしまうので絶対NGですね。

写真:清水
清水
組みやすい方の足があるので、つまりは骨盤がねじれてしまっているってことですよね…。

写真:澤木
澤木
そうかもしれませんね。加えて、同じ姿勢を長く続けると骨盤周りの血流が滞り、筋肉をこわばらせてしまいます。できれば20分に一度、体を動かすこと。少し立って歩くだけでも◎です。ちなみに、坐骨で座るとお腹の腹腔(ふくくう、内臓がおさまっているお腹の部分)が小さくなり食事があまり入らないので、食べ過ぎの防止にもなります(笑)。

写真:清水
清水
え! 今日から早速実践します!(笑)未来の体のために、骨盤が整う習慣を続けていきたいです。

本日の学び

澤木先生のお話を伺ってから、坐骨を意識して座るように。そうすると下腹部に自然と力が入り、お腹周りにじわじわ効いているような…。もしかして、今まで骨盤周りの筋肉が上手く使えていなかった!? 体力・筋力はある方だと思っていましたが、お腹周りだけなんだかぼや〜っと怠けている感じがしていた謎が解けました(清水)

次回の更新は2月10日(火)!今回も文末にアンケートがございますのでぜひご協力をお願いいたします♪

監修/澤木一貴
編集/間野加菜代(Cumu)
イラスト/itoaya

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